
神である山
2026.9.5 — 2026.9.26
艸居
京都府 京都市
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艸居では、サム・チャットの個展を開催いたします。2025年に続き、艸居では2度目の個展です。本展は、艸居と艸居アネックスの2会場で展示いたします。 本展『神である山』は、作品の意味や重要性は、それを構成する素材と、その素材の出自に由来するという「インデクシカリティ(指標性)」の考え方をテーマとしています。展覧会名は、『万葉集』に収められた奈良時代の歌に由来します。自然と神性をめぐる歌であり、動物を擬人化することによって、人間と自然との関係、そして自然の中に宿る聖なるものについて語っています。そのため、採取したまま手を加えていない自然素材を用い、しかもそれらがごく特定の場所から採取された本展に、この歌を参照することはまさにふさわしいと感じました。素材そのものが豊かな生命を宿しているため、制作の過程では、作家と、それ自体に強い魂が宿っているかのように感じられる自然素材とのあいだに、非常に動的で予測不能な対話が生まれます。そこへ焼成の過程が触媒として働き、ある程度は和らげられながらも制御しきれない自然の力が、作品を変え、作り変えていきます。作品の最終的な姿は、炎と灰の作用によって生み出されます。色彩は粘土そのものと灰から生まれ、その灰は地元の森の木々に含まれる鉱物から成っています。さらには作品の形さえも、焼成時の圧力、熱、湿度によって変化します。 本展は、イギリスと日本という二つの場所で制作された作品によって構成されています。茶碗と小さな儀礼用の皿の一群は、伊勢崎家の工房と、備前を代表する作家の一人である伊勢崎晃一郎の工房で制作されました。晃一郎は一族に受け継がれた土の蓄えを持つため、きわめて希少な備前の土を扱うことができます。この土は、素材の由来が最終的な作品にどのように現れるかという考えを、とりわけ雄弁に示しています。焼成時の振る舞いや色の変化の仕方がほかにはないほど特異で、薪や炎だけでなく、天候や大気、焼成の方法にまで反応し、焼成の過程を余すところなくその姿に映し出すからです。制作工程の一部には、削ったり切ったりする手法も取り入れられました。作家は、寺院や寺の庭園で岩に結ばれ、限界や終わり、境界を示す際に用いられる特殊な縄を使いました。作品の限界を定めるうえで、ふさわしい使い方だと感じたためです。チャットは備前で目にした陶芸作品、とりわけ陶製の瓦から大きな刺激を受けました。瓦の組み立て方は、自身の制作に取り入れるうえで興味深い過程だと考えたのです。 チャットは、備前で制作した作品が、本展に出品されるもう一方の作品群、すなわちサセックスの自身の工房で制作した作品と呼応し、互いに対話するものだと感じています。サセックスの作品は、日本の焼成方法を応用した薪窯で、素材にはすべてイギリス産のものを用いて焼かれました。これらの作品もまた、自然に宿る力と象徴性を表しています。素材には、工房のすぐ近くで作家自身が掘り出した粘土と、イギリス・コーンウォール産の磁土が用いられています。その粘土は、激しい雨のあとに強い日差しが照りつけるという、その土地特有の天候によっても大きく形を変えていました。チャットは、風景の中で自然のままにある粘土が変化し、形を変えていく様子を観察し、水や雨による動きや変化の感覚を作品に取り込もうと、素材そのものを彫り、水の文様を刻みました。チャットは次のように語っています。「私にとって、これらの作品の多くには、そうした流動性や動きが感じられます。それと同時に、粘土を、轆轤の上で形が生まれるその瞬間へと立ち返らせるような感覚もあります。作品の多くは手で彫っていますが、制作のある段階では轆轤に載せています。また、茶の湯で茶碗を手の中で動かす所作は、私にとって轆轤成形の過程を思い起こさせます。ですから私はいつも、器が回され、動かされることを前提に形を考え、見る人が実際に手に取り、手の中で動かしてみたくなるようにしています。そうすることで、粘土の質感やそこに刻まれた風景の痕跡を手で感じながら、色や形を生み出した自然の作用を体感することになるのです。」 ATTRAVERSOは、静物写真のデュオ、コッピ・バルビエリと、陶芸家のサム・チャット、画家・映像作家のエレノア・エクセルジャンを結集し、クリエイティブ・ディレクターのジョー・ハンブロとともに構想されたプロジェクトです。 イタリア語のATTRAVERSO(「〜を通して」の意)は、このプロジェクトにおける物理的な制作プロセスと、その核にある相互のやり取りの両方を表しています。写真を通して見る絵画、絵画を通して変容する彫刻、そして三者それぞれの実践が交わり、三者の誰にも完全には属さず、三者すべてに共有される何かが生み出されます。 ファブリツィオ・コッピとルチッラ・バルビエリによる静物写真のデュオ、コッピ・バルビエリは、30年にわたってともに制作を続けてきました。二人の静物写真は日常的な物を夢のような光景へと変え、それを彼らは「カメラで絵を描く」と表現しています。撮影はいずれも布のスクリーン越しに行われ、明暗の交錯によって奥行きを生み出します。 コッピ・バルビエリをサム・チャットとエレノア・エクセルジャンに紹介したのは、長年にわたり協働してきたジョー・ハンブロでした。ハンブロは、チャットの陶芸作品、エクセルジャンの布に描く絵画、そしてコッピ・バルビエリの写真のあいだに、コラボレーションの可能性を見出しました。 チャットとエクセルジャンは、それぞれが一人の作家として活動する一方、私生活ではパートナーでもあり、異なる実践が絶えず創造的な対話を続けています。この関係は、仕事でも私生活でもパートナーであるコッピ・バルビエリの二人にも自然なかたちで重なります。 コッピ・バルビエリは初期の作品から、素材や光、反射の層を重ねることで、日常的なものを変容させる方法を探求してきました。物は主役として立ち現れる一方で、同時に周囲へと溶けていきます。 ATTRAVERSOのために、エクセルジャンは布地に直接絵を描きました。布地の透過性と油絵具によって、光や動き、風景が捉えられています。その布はカメラとチャットの陶芸作品のあいだに吊り下げられます。コッピ・バルビエリは、絵が描かれた布のスクリーンを「通して」それらの作品を撮影し、一枚のイメージの中で色彩、光、形態が溶け合うようにしています。 チャットの釉薬の半透明性、磁器彫刻の形態と色彩は、いずれもエクセルジャンの絵具の痕跡と呼応します。 写真家のファブリツィオ・コッピとルチッラ・バルビエリは1990年にミラノで出会い、コッピ・バルビエリとして共同制作を始めました。仕事と人生の両面で錬金術的ともいえるパートナーシップを築き、現在では世界で最も引く手あまたの静物写真家の一組となっています。長年にわたる革新と実験を通じて技法を磨きながら、互いから、そして自然からインスピレーションを得続けています。 サム・チャットは、英国と日本を行き来しながら活動する陶芸家です。京都では著名な磁器作家、八木明に師事し、日本の轆轤成形の厳密な技法を学びました。それ以来、主に磁器を用いて制作しています。チャットにとって磁器とは、記憶を宿す無垢な素材であり、轆轤で成形される過程においても、それ自体の生命を保ち続けるものです。チャットの作品は、動きや流動性、そして生命感を捉えようとしています。 エレノア・エクセルジャンは画家・映像作家で、映像と素早い描画を組み合わせて制作しています。このプロセスから生まれる抽象作品は、流れるような動きと際立った緻密さを併せ持ち、静けさと躍動感の双方を捉えています。彼女の絵画やドローイングは叙情的な風景へと展開し、映像によって揺れ動く感情を探りながら、静止と動きのあいだに視覚的な対話を生み出します。国際的に作品を発表しており、近年では初の映像作品『Imagined Landscapes』(想像上の風景)をロンドンのインスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アーツで上映しました。 ぜひこの貴重な機会に、是非ともご高覧いただければ幸いです。
参加作家
- サム・チャット
開催情報
- 開催期間
- 2026.9.5 — 2026.9.26
- 開館時間
- 11:00 〜 18:00
- 休館日
- 月曜日、日曜日
- 料金
- 公式サイトをご確認ください
- 会場
- 艸居
- 住所
- 京都府京都市東山区元町381-2
- アクセス
- 京阪線三条駅2番出口より徒歩1分、地下鉄東西線三条京阪駅2番出口より徒歩5分、阪急線京都河原町駅1B出口より徒歩10分
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