
海の緒
2026.9.12 — 2026.10.11
POETIC SCAPE
東京都 目黒区
気になる展示の保存や鑑賞記録、レビュー投稿はアプリで。
アプリで記録する概要
POETIC SCAPEでは2026年9月12日(土)から10月11日(日)まで、中井菜央の個展「海の緒」を開催します。 豪雪地・新潟での6年に及ぶ撮影が終わる頃、中井菜央は、次は水、あるいは海と感じるようになっていきました。中井は、新潟に雪をもたらす対馬海流の辿り着く先を目指して北上し、日本海とオホーツク海が交わる北海道の果て、宗谷岬に立ちます。 荒々しい海景を眺めるうちに、中井は生まれ育った滋賀にある琵琶湖を思い出しました。子どもの彼女にとって琵琶湖は、身近にありながら“何も与えないもの、行き来を全く許さないもの、いっさい語らないもの”で、“黒い穴”のようであったといいます。そして、目前の海と記憶の底の琵琶湖が意外にも共鳴したことの不思議さに、中井は「この海で撮ろう」と決意しました。厳寒のなか、強風で荒れる海を日々目の当たりにし、中井は驚かされました。しかし、それはすでにある「海」の観念の延長として捉えられるものであり、しばらくは「海」を再確認するような時間が過ぎていきました。 撮影を始めてからおよそ半年後、中井は「トロ凪」と呼ばれる、水面が静まり返った、一枚の布のような海を目にします。目の前の海の有り様に、知識として知っていることと、海とともに時間を過ごし身体をもって識ったことは、あまりにかけ離れていると気づいた瞬間でした。そこから中井は、目の前の世界に入ってゆくようにシャッターを切り続けました。 “科学を通してのみ知られる摂理があるならば、経験というものを介してのみ知られる摂理があっても不思議はないのではと私は思うようになっていきました”(中井菜央) 中井の制作姿勢は、テーマを設定せずに、まず現地へ足を運び、カメラを通して外の世界を覗き、撮影を重ねながら、違和感と「これだ」の感覚を頼りに研ぎ澄ましてゆくというものです。その果てに世界そのもの、そして自分自身を垣間見ようとします。それは、すでに知識として知っているモチーフを、記号や言葉から解体し、さらに深くまで潜り、身体を使って”識り”、編み直してゆく、もしくは自らが被写体と境界なく融けてゆくことで、「世界」と「私」の本質に迫ろうとする作業といえるのではないでしょうか。 長期にわたる”海との日々”を経て撮影した写真は、『海の緒』として結実しました。本展では写真一枚一枚を、物的な境や形さえない、世界そのものへとつながる“緒”の一端、その糸口として提示します。海を見つめ、ともに過ごし、身体を通して世界を“識る”なかで、作者がたどり着いた風景。そこに写し出されているのは、私たちがすでに知っていると思っていた世界の、さらに奥深く世界そのものに近づいて広がる光景です。既知という枠組みがほどけ、新たに開かれていく世界をご覧ください。 [関連イベント] ギャラリートーク 日時: 9月26日 18:00~19:30 登壇者: 中井菜央×天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター) 料金: 1500円(要事前申込み) ※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
参加作家
- 中井菜央
開催情報
- 開催期間
- 2026.9.12 — 2026.10.11
- 開館時間
- 13:00 〜 18:009月26日は17:30まで
- 休館日
- 月曜日、火曜日、祝日
- 料金
- 無料
- 会場
- POETIC SCAPE
- 住所
- 東京都目黒区中目黒4-4-101F
- アクセス
- 東京メトロ日比谷線・東急東横線中目黒駅東口より徒歩11分、JR山手線・埼京線恵比寿駅東口より徒歩20分
タグ
最新レビュー
まだレビューはありません。鑑賞後の記録やレビューはCoMuseアプリで残せます。